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Ti-6Al-4Vの安全性

 
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金属材質別機械的性質
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上の表は金属の引っ張り強度や0.2%耐力に関してデータをまとめた表である。
ネジなどの強度部材として使用する際に重要なのは引っ張り強さと0.2%耐力、そして疲労強度である。
S45Cと言う一般に使われる鋼は、引っ張り強度が570N/mmで0.2%耐力が345N/mm。
これに対してボルトで使われるステンレス鋼のSUSXM7 A2-50は
引っ張り強度が500N/mmに対して0.2%耐力が210N/mmしかない。

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引っ張り強度は最大応力のかかるところ。表中の降伏点は、0.2%耐力または降伏点である。
S45Cの場合は降伏点が61%であるのと比較すると、 SUSXM7は42%しかないことがわかる。
鋼と比較すると降伏点も低い。
上の表のように、金属材料には設計範囲というものがあり、これを超えて設計する ことはできない。
つまり、いくら引っ張り強度が高くても0.2%耐力が低い材料は、
同じ形状や構造でもその性質から十分な強度が担保できないことになる。
それでは各素材別に見てみよう。それぞれ引っ張り強度と0.2%耐力である。

SCM435     800 640
アルミA7075   510 440  
純チタン     340 215
Ti-6Al-4V    895  825
 
64チタンが強い理由はここにある。SCM435は通称クロモリ綱と言われているが、これは十分な強度を持っている。
一番下がいわゆる64チタン。クロモリ鋼を凌ぎ、0.2%耐力もクロモリの80%に対して92%である。
64チタンが安心して使えるのはこういうことなのだ。逆にクロモリ鋼の場合は、
SCM435を表記するならば、質別を明らかにしなければならない。
S45Cの質別8.8の鋼とあまり変わらないと言うことになる。
 
この引っ張り強さと0.2%耐力の関係があり、ステンレス鋼は自動車やオートバイの強度部品に使われることはあまりない。
ところがSUS630 H900というステンレス鋼がある。これは引っ張り強度が1310で0.2%耐力が1175もある。
実に耐力は90%。
しかしこれは特殊な処理をしている ためである。大切なことは、
金属それぞれの特性を良く理解して使用すること。そしてその素材がどのような処理をされているかである。
 
それからもう一つ、金属には疲労強度というものがある。チタン合金は引っ張り強さに対して疲労強度が極めて高く、
疲労比(疲労強度/引っ張り強さ)は0.5~0.6を示す。

ちなみに鋼の疲労比は0.2~0.3程度なのである。